今日は帝国劇場へミュージカル『MOZART!』を観に行って来ました。言わずと知れた天才音楽家モーツァルトの波乱に満ちた一生をモチーフにした作品で、モーツァルトの楽曲に詳しくない人でも、5歳にして「奇跡の子」と賞賛された自分の才能に振り回される青年の情熱的で貪欲な生き様に惹き込まれていく内容だと思いました。もちろん、モーツァルトの歴史を知っていた方が、更に楽しめるエピソードや演出が多いですけどね。主演のモーツァルト役はWキャストで、私が鑑賞した回は中川晃教さんでした。モーツァルトの父親役に市村正親さん、モーツァルトの才能を独り占めしようとするコロレド大司教役に山口祐一郎さん、モーツァルトの姉役に高橋由美子さん、モーツァルトの伴侶となるコンスタンツェ役にhiroさん、モーツァルトの才能の良き理解者であるヴァルトシュテッテン男爵夫人役は香寿たつきさんでした。
主要キャストはこんな感じですかね。どなたも素晴らしかったですが、錚々たる顔ぶれの中で堂々と主演を務めたモーツァルト役の中川さんの存在は光っていました。声量を求められる楽曲が多いのですが、情熱的であると同時に破滅的なモーツアルトの性格を歌で見事に表現していました。あと、なんと言っても「ミュージカル界の帝王」とも言うべき山口祐一郎さんは、役柄が大司教ということでその存在感は圧倒的だったし、「美声」の素晴らしさも変わらずでした。そして、父親の市村さんは終始モーツァルトの「闇」の部分を示唆する存在で、楽曲はモーツァルトやコロレド大司教ほどのインパクトは無いものの、彼の登場シーンは「情」に訴えるものが多かったです。それから、香寿さんの歌声が凄く綺麗で歌声そのものにも感動してしまいました。
私はこのミュージカルを鑑賞するのが初めてだったんですが、Wolfgang Amadeus Mozartの楽曲は好きで彼の人生には興味があったということもあり、思っていた以上に楽しむことができました。楽曲もロックぽい曲調のも多かったかな?客席もノリノリの部分があったくらいだったしね。凄く判り易い内容ではないけど、妙に感情を刺激された作品でした。カーテンコールのラストでは私も思わずスタンディングオベーションをしてしまったほどです♪
演劇関係はこの『MOZART!』が今年最後の鑑賞になりましたが、最後にふさわしい作品になったな。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
モーツァルトは5歳にして「奇跡の子」と絶賛され、父親からの賞賛や愛情を一身に感じました。しかし、その時の自分が「最高の時」というトラウマがあるらしく、青年に成長したモーツァルトにはいつも影のように5歳の頃の自分が付きまとっている…という演出が凄く印象的でした。この5歳のモーツァルトには台詞には一切無いのですが、仕草の一つ一つが可愛らしいのですが、時には青年のモーツァルトと対峙するような場面もあり、モーツァルトの孤独の葛藤を判り易く表現していたと思います。
それから父子の関係も印象的でした。才能をどんどん開花させていくものの、常に「驕り」の部分が付きまとう息子の状態を危惧し、最後まで息子の成長ぶりを認めなかった父親の姿は切なかったです。モーツァルト絶頂期という場面で、和解するどころか更に関係を悪化させたまま別れてしまったことで、モーツァルトはどんどん「闇」の部分に自分の心が取り込まれていってしまったようにも見えました。
あと、モーツァルトに『レクイエム』を依頼する「謎の男」を市村さんが一人二役で演じていたのがツボでした。白い仮面を付けて、まるで「ファントム」のようだったな♪まぁ、実際のモーツァルトはとある田舎の領主が妻の為のレクイエムを…と依頼されたのが真相で、「謎の男」というのは彼のカリスマ性を高める噂に過ぎないのですが、エンターテイメントとしては「謎の男」とした方が盛り上がりますもんね。
破滅的な人生を送るモーツァルトに合わせるかのように、物語そのものは明るい音楽が流れていてもどこか物悲しいく暗い部分が多かったですが、山口さん演じるコロレド大司教の馬車移動でのコミカルなシーンがあったり、所々クスクス笑えるシーンもあって、決して辛くて息詰まるような内容ではなかったのも良かったです。
コミカルといえば、物語の中では終始シリアスだった市村さんがカーテンコールで本領発揮していて面白かったです。小島○しおさんの真似までしていました(笑)。