昨日は横浜みなとみらいの方で期間限定公開されている映画『THE QUEEN』を観て来ました。言わずと知れた英国王室のQueen Elizabethが主役の話で、あの「英国の薔薇」と謳われたPrincess Dianaが交通事故でこの世を去ってからの一週間、女王はどういう状況下にあったのかをリアルに描いている作品です。
…ていうか、本人が健在であるのに映画化してしまうっているのがある意味凄い。日本では信じられない感覚かも。
今年でPrincess Dianaが亡くなってから10年、彼女の死を境に英国民だけでなく、世界も英国王室に対して今までとは違った視点で見るようになったと思いますが、そんな中でもQueen Elizabethは自分の立場というか態度を今も昔も変えていないように感じます。この態度を冷たいととるか、品格があるととるかは個人の自由ですが、そんな彼女の態度は、この映画を観ることで「必然的なものだ」と実感することになると思います。
内容は先にも書きましたが、パリで恋人と共にDianaが交通事故死を遂げたという一方を受けたQueen Elizabethは、「彼女はもう民間人で我々には無関係」と主張する英国王室側と、「彼女は国民のプリンセスだった」と主張するTony Blair首相との間で苦悩の日々を送り、常に「英国の女王」としての立場を第一に考えている姿を繊細かつリアルに描いています。Dianaに関しては当時の本物の映像も随所に使われているので、ドキュメンタリーとして通じそうなほどリアルな部分がありましたが、中心人物はQueen Elizabethであって、彼女は一人の悲劇の女性に過ぎない…というか、変に美化していないので、Dianaの存在に翻弄されているというよりも、「英国女王」という立場を守らなければならない一人の女性の逞しさみたいなもを感じました。飽くまでも、この作品の主人公はQueen Elizabethでした。
Queen Elizabeを演じたHelen Mirrenは本年度のアカデミー賞主演女優賞を受賞しているだけあって、さすがの存在感というか、本物の英国女王に似ている似ていないのレベルではなく、もう存在そのものが英国女王!でした。物語は意外に淡々と進んでいくのですが、彼女の存在が素晴らしくて103分の上映時間はアッという間でした。それに、彼女に感情移入していたわけではないのに、クライマックスでの彼女を取り巻く状況に涙してしまう自分もいました。
それから、英国首相のTony Blairを演じたMichael Sheenも素晴らしかったです。43歳という若さで英国首相に就任し、それから半年も経たないうちにDianaの事故死という事態に見舞われ、混乱しながらも女王や国民の両方に真正面から向き合おうする姿が印象的でした。若過ぎるが故にに女王から最初相手にもされないですが、若さがあるからこそ瞬発力というか情熱を持って行動していく様は、観客が一番感情移入しやすかったと思います。このBlair首相の存在があったからこそ、英国女王を妙な偏見を持たずに客観的に見ることができたのかもしれません。スリリングな展開の中でも、この二人のやり取りは時に微笑ましい部分もあり、作品に奥深さを出していたと思います。
英国女王は女性でありながらも、女性…いや人間を超越した存在なんだな〜て感じましたね。特に、昨日、日本の首相が無責任な上に情けない辞め方をしてくれたもんだから、余計にそう感じてしまうのかもしれない。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
Dianaが事故死してからも「もう民間人だから」という理由で、公式な声明を出さずに国民はおろか世界からも批判されていく英国王室ですが、その批判を危惧していたのはBlair首相くらいで、英国王室の人々は「今はヒステリーになっているだけ、すぐにみんな忘れる」と我関せず状態だったというのには驚きました。幼い王子2人を「気分転換させてやろう」と鹿狩に連れていき、母親の亡骸と葬儀の直前まで対面することはなかった経緯も、王子2人になんとなく同情したくなりました。ただ、王子2人のことは台詞に出てくる程度で、あまり映像には登場しません。その辺りに監督の「良心」を感じました。ただ、長い間「英国王室」を守ってきた人々にしてみれば、スキャンダルばかり起こしたDianaの存在は疎ましかったんだろうな〜というのか、台詞に随所に滲み出ていました。Charles皇太子も「2人の王子にとって素晴らしい母親」という台詞があるんですが、「素晴らしい妻だった」という台詞は一つも出てきませんでしたからね。
だからといって英国王室が冷酷人間の集団のように感じるかというとそうでもない。若くして女王になったElizabethは、常に「自分の感情よりも女王としての規律を優先すること」と育てられてきて、その教えを忠実に守り続けているし、そのことに誇りも持っている。その潔さは決して冷酷ではないし、畏怖の念に近い感情すら覚えてしまうほど。最初は人間味のない女王に抵抗感があったBlair首相も、彼女の毅然とした言動に魅せられていき、なんとか女王への反感を抑えたいという考えになっていくところが良かったです。しかも、そんなBlair首相に対して気心を許しながらも、自分の立場をしっかり保っている女王は更に魅力的に見えました。悲劇的な事故を扱っているだけに、物悲しい雰囲気がずっと流れているんだけど、そんな中でも決して毅然とした態度を崩さないQueen Elizabethは本当に生まれながらに「女王」なんだな〜と痛感しました。
だからこそ、女王がDianaに手向けられた花束の数々と共に自分に対する批判的なメッセージをを歩いて見つめる中で、一人の少女が女王へ花束を手渡してきたシーンに、女王の存在の大きさを感じると共に、国民が女王を愛していると感じてグッときてしまいました。
余談になりますが、葬儀のシーンは実際の映像が使われて有名なハリウッドスターや監督の姿も映っていましたが、その中に先日亡くなったテノール歌手のLuciano Pavarottiの姿もあって、妙に切なくなってしまいました。
ブログにコメントとTBありがとう
ございました!
派手さのない映画で、静かに時が流れる
感じの映画でしたが、私もあっと言う間に
終わった感じがしました。
映画に出てきた少女からの
花束のシーンは本当に
あったことなんですよね?
あのシーンはグッと来て、さらに涙して
しまいました(^^ゞ
あの少女の花束のおかげで、女王の気持ちも少しは救われたような気がしました。
実在の女王を映画にしてしまうんなんて
すごいですよね(^^ゞ
日本では考えられないことだと
思いました。
こちらの記事を拝読しながら、この作品をまた思い出しています。10年なんてあっという間ですね。当時の映像を見ると少し懐かしいような微妙な気持ちになって胸が騒ぎます。
メディアという物に常に踊らされ、そしてこういう作品までできてしまう英国。
ある意味情報が溢れすぎている今日、どこまでが本当なのかは本人にしかわからないところですが…でもおっしゃるとおり、英国民はやはり王室というものをどこかでちゃんと愛してるんでしょうね。
脚本も演出もとても良かったし、俳優さん達も素晴らしい存在感でした。
TBありがとうございました。
私もTBさせていただきました。
今年はあの事件から10年と言うこともあり、日本でもTV番組がありましたが、ちょっと薄っぺらな感じがしました。
>女王がDianaに手向けられた花束の数々と共に自分に対する批判的なメッセージをを歩いて見つめる中で、一人の少女が女王へ花束を手渡してきたシーンに、女王の存在の大きさを感じると共に、国民が女王を愛していると感じてグッときてしまいました。
このシーンは私も思わず、目頭が熱くなりました。
いま一度観てみたい作品の1本です。
また遊びに参ります…。
コメントありがとうございます。
あれから10年経つんだな〜と感慨深くなりますよね。
マスコミの大袈裟な報道というか、脚色された内容が目立つなかで、
どれが一体真実だったのか判断に困りますが、
英国民は「女王」と敬愛していることには変わりはないんだな〜と
この作品を観て感じました。
あの花束を受け取るシーンて実話なんでしょうかね?
一番感動したシーンなだけに気になるところですが、
個人的には実際にあったと信じたいです。
コメントありがとうございます。
あの10年前ので出来事はリアルタイムで見ていただけに、
ああいう形で振り返られると懐かしいと感じると共に胸を締め付けられますね。
日本人の私ですらそう感じるんですから、英国民はそれ以上だったと思います。
しかし、10年前の出来事とはとは女王は今の健在なのに映画にしてしまうところは、
日本人の感覚からは信じられないことですよね。
あれだけ客観的に淡々と描いていることにも驚きました。
だけど、ああいう演出だったからこそ偏見なく観れた気がします。
コメントありがとうございます。
Dianaが事故死して10年ということで日本でも特集番組がありましたが、
この映画に比べると先入観いっぱいで薄っぺらい内容だったなぁ…と
思わずにはいられなくなりましたね。
真実はどうあれ、「英国女王」を見事に描ききっていたと思います。
あの花束のシーンは、女王に感情移入したつもりではない私ですら、
涙が零れてしまったほどです。
この作品が観られて良かったと思っています。
moriyuhさん、こんなblogですが、また遊びに来て下さいね♪